公開:2026年6月12日
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この記事では、モノレポの特徴やマルチレポとの違い、モノレポが向いているケース・向いていないケースを詳しく解説します。

ソフトウェア開発において「モノレポ」は、開発効率の向上に繋げられる手法として近年多くの企業で採用されています。そのため、実際に自社の開発現場でもモノレポの導入を検討している企業の担当者も多いのではないでしょうか。モノレポの導入を検討する際には、特徴やマルチレポとの違いを事前に把握し、正確な導入可否の判断を行うことが大切です。
そこでこの記事では、モノレポの特徴やマルチレポとの違い、モノレポが向いているケース・向いていないケースを詳しく解説します。モノレポを導入する際に押さえておきたいポイントも解説するので、ぜひ参考にして下さい。

モノレポは「Monolithic Repository」の略語で、「mono(単一)」と「repo(リポジトリ)」を組み合わせた言葉になります。複数のプロジェクトやサービスに関するコード群を単一のリポジトリでまとめて管理するソフトウェア開発における手法を指します。モノレポは1つの大きな家や倉庫のようなもので、その中にさまざまなアプリやライブラリなどの複数のパッケージが入っており、それぞれ独立した機能を持ちながらも1つの場所でまとめて管理されているイメージです。
GoogleやMetaなど有名な巨大テックカンパニーでも採用されている手法で、開発スピードの向上やチーム連携の強化などに繋げられます。

モノレポと対になる言葉が「マルチレポ(multi-repo)」で、1つのリポジトリで複数のプロジェクトやサービスに関するコード群を管理するモノレポとは異なり、プロジェクトごとにリポジトリを分けるアプローチを指します。つまり、プロジェクトを管理する家や倉庫が個別に複数分かれて存在しているイメージです。なお、マルチレポは「ポリレポ(Polyrepo)」とも呼ばれます。
モノレポとマルチレポにおいては、一概にどちらが優れているということではなく、自社の目的や開発体制などを考慮して選択する必要があります。モノレポ導入が向いている・向いていないケースは後に詳しく解説します。

モノレポが注目されている背景は、近年ソフトウェア開発の領域において複数チームによる並行開発やコード共有の必要性が高まっていることにあります。例えば、フロントエンドとバックエンドで複数チームに分かれて同時並行で開発を進める場合、各リポジトリが別々に管理されていると仕様変更の度にそれぞれのリポジトリでの修正が必要になり、開発者間のコミュニケーションコストの増加に繋がります。
モノレポなら、リポジトリ1つで開発・運用できるため、フロントエンドとバックエンドにまたがる機能追加や改修が発生した場合でも、互いに連携しながら効率的に対応を進められます。

ここでは、モノレポの具体的なメリットについて確認していきましょう。
モノレポは複数のアプリケーションやサービスを1つのリポジトリで管理できるため、コード共有と再利用性の向上に繋げられます。複数のアプリケーションで利用する共通ライブラリを1つのリポジトリで流用できるようにすれば、同じコードを何度も書く必要がなくなり、管理コストを削減しながら効率よく開発を進められます。
モノレポなら依存関係が同一のリポジトリで完結するため、バックエンドやフロントエンドなどで横断的な変更が生じた場合でも一度のコミットで関連する全ての変更の反映が可能になり、不整合の防止に繋がります。
マルチレポの場合は、別々のリポジトリでライブラリを管理するため、複数PRを順番にマージする必要があり、その間の不整合状態が発生しやすくなります。
モノレポを導入することで、開発チーム間での連携が強化されます。それぞれのチームが共通の依存関係やライブラリを利用できるため、互いにコードの修正や変更などが発生した場合でも認識を揃えながら開発を進められます。情報共有がスムーズになるため、モノレポは複数チームで協力して開発を進めたいケースに適しています。
モノレポなら同一のリポジトリを利用するため、複数のアプリケーションにまたがる修正において影響範囲を確認しながら安全に対応を進められます。
型定義やインターフェースの変更時、全ての利用箇所を一度の変更で修正でき、コンパイラやIDEが影響範囲を正確に検出することが可能です。マルチレポの場合は、更新が生じた場合それぞれのリポジトリで対応する必要があるため、バージョン管理が複雑になりやすい傾向があります。
モノレポでは、ESLintやTypeScript、CI/CDパイプライン、Jestなどのツール設定を一元管理しやすいメリットもあります。開発で扱うさまざまなツールをリポジトリルートに一括で管理することで、プロジェクト全体の開発ルールが統一され、メンテナンス負荷の削減に繋がります。マルチレポの場合は、それぞれのリポジトリでツール設定が必要になるため、更新漏れなどの問題が発生しやすくなります。

モノレポは単一のリポジトリでライブラリなどを管理でき開発の効率化に繋げられる一方で、以下のようなデメリットもあります。
モノレポは複数のプロジェクトを1つにまとめて管理するため、Gitの歴史が巨大化してgit blameやgit logでの処理が重くなるという課題もあります。それにより、処理時間が増加しコードの調査やレビューに時間がかかってしまう場合もあります。
モノレポではリポジトリレベルのアクセス制限ができないことも課題の一つです。GitHub・GitLabでは原則リポジトリ全体へのアクセス権限しか設定できず、ディレクトリ単位の制限にはCODEOWNERSやブランチ保護ルールを工夫する必要があります。機密性の高いコードを管理する場合は、別途でリポジトリ化を検討すべきです。
モノレポを導入する際には、開発にコミットする全てのメンバーがモノレポの概念や特性、運用ルールを理解しておかなければなりません。pnpmやYarn workspace、Nx、Turborepoなどの専用ツールや、開発ルールなど覚えるべきことが多く、初回セットアップ時の学習コストは高い傾向があります。
開発者の学習コストを抑えるためには、ルールや手順をドキュメント化し、チーム内で共有しやすい環境を構築するなどの工夫が必要です。また、段階的な導入を行うことで、メンバーの混乱を防止できるでしょう。

モノレポのメリット・デメリットを把握したところで、マルチレポの特徴も確認していきましょう。両者の違いを理解しておくことで、自社の要件にマッチした手法を選択できるようになります。
プロジェクトごとにリポジトリを分けて管理するマルチレポには以下のようなメリットがあります。
→個別のプロジェクトごとでCI/CD設定やアクセス権限管理、リリースなどを行える
→各リポジトリで異なる言語・フレームワークを柔軟に選択できる
→単一のリポジトリで管理するモノレポより軽量化できる
マルチレポには以下のようなデメリットもあります。
→仕様変更などがある場合、各リポジトリでの修正が必要
→ライブラリ更新にバージョン不一致が起こりやすい
→ESLintやTypeScriptなどのツール設定をリポジトリごとに行う必要がある
以下にモノレポとマルチレポのメリット・デメリットを表でまとめているので参考にして下さい。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| モノレポ | ・コード共有がしやすい ・チーム連携の強化に繋がる ・横断的変更が容易 ・ツールを一元管理できる | ・git blameやgit logが重くなりやすい ・リポジトリレベルのアクセス制限ができない ・初回セットアップ時の学習コストが高い |
| マルチレポ | ・各リポジトリでCI/CDやアクセス権限管理が可能 ・異なる技術を採用できる ・リポジトリの軽量化 | ・横断的変更が大変 ・バージョン管理が複雑になりやすい ・ツール管理が分散する |

モノレポはどのようなケースで適しているのか気になる人も多いでしょう。ここでは、モノレポ導入が向いている・向いていないケースについて詳しく解説していきます。
モノレポが向いているのは以下のケースが挙げられます。
まずモノレポは開発においてコード共有の頻度が高いケースにおいて相性が良いです。同一のリポジトリで共通コードを管理できるため、各プロジェクトで必要なコードを再利用し、開発スピードの向上に繋げられるでしょう。また、関連する変更を1つのコミットで完結させて、不整合の発生を防止したいケースにも適しています。
以下のケースではモノレポではなく、マルチレポの導入を検討すべきだと言えます。
まず、チームごとに開発ルールや採用技術などが異なる場合は、独立性の高いマルチレポを採用する必要があると言えるでしょう。アクセス制限については、例えば、金融機関で部門間のコード参照を禁止する必要がある場合などはモノレポの導入は避けるべきだと言えます。また、チーム内での学習コストが高い場合、本格的な導入には時間がかかるかもしれません。

モノレポを自社の開発現場で導入する際には以下のポイントを意識することが大切です。
まずは自社としてモノレポを導入する目的を明確化しておくことが大切です。上記で解説した通りモノレポには向き・不向きなケースがあるため、「モノレポを通してどのような課題を解決したいのか?」というところを明確にしておかなければなりません。加えて、開発体制やチームのスキルレベルなども考慮し、複数の検討要素をもとに正確な導入判断を実施することが大切です。
モノレポは明確な運用ルールがないまま導入してしまうとチーム内で混乱を招いてしまいます。そのため、仕組みそのものに依存せず、人による適切なルール設計を行うことが重要なポイントになります。具体的には以下のような事項を決めておきましょう。
導入前にこれらのルールが明確化されていることで、スムーズな運用に繋がります。

モノレポではCI/CDの運用においていくつか課題が発生します。1つのリポジトリでアプリケーションやライブラリを管理するため、事前設計がないままコードの変更範囲に関係なくフルでCI/CDを回してしまうと、実行時間が長くなるなど無駄なリソースを割くことに繋がります。そのため、変更範囲に合わせて処理をする仕組みを取り入れる必要があります。
具体的には、「affected detection(変更されたパッケージだけテスト)」「incremental build(変更部分だけビルド)」「distributed caching(ビルド結果の再利用)」が必要になり、NxやTurborepoの利用でこれらの対応が可能です。
GitLabは、AIを搭載したDevSecOpsを支援するプラットフォームです。Gitリポジトリ管理やCI/CD、セキュリティ対策、レビュー管理などソフトウェア開発におけるライフサイクルを効率化できるさまざまな機能を単一のプラットフォームで利用できます。GitLabでは、モノレポにおけるCI/CD運用を最適化できる機能を提供しており、GitLab固有の強みとしては以下があります。
(※Nx/Turborepoといったモノレポツールの組み合わせが前提になります)
自社でDevSecOpsや効率的なモノレポ運用を実現するなら、ぜひGitLabの導入も検討して下さい。

最後にモノレポに関するよくある質問を紹介します。モノリスとの違いや導入判断基準、失敗しやすいポイントなどを確認しておきましょう。
モノリスとは、アプリケーションの全ての機能やコードが1つのシステムにまとめられている構造を指します。モノレポは、コードを管理するリポジトリの運用方法です。
モノレポ内にマイクロサービス(独立したサービス群)を配置することも、モノリシックアプリケーション(単一の大きなアプリ)を配置することも可能です。つまり、「モノレポ ≠ モノリス」であり、両者は直交する概念になります。
結論、どちらが良いということではなく、自社の要件にあわせて適切な手法を選ぶことが大切です。例えば、コード共有の頻度が高く、ライブラリをプロジェクト間で統一したいならモノレポを選択するのが適切でしょう。また、最初からどちらか一択ではなく、開発の成長段階に応じて手法を移行・変更したりするケースもあります。
いずれにせよ、両者の特徴をよく理解した上での導入判断が求められます。
既存プロジェクトをモノレポに移行することは可能です。ただ、いきなりの完全移行は現場に混乱を招く可能性があるため、運用ルールを整備しつつ段階的な移行を意識することが大切です。また、既にマルチレポで安定運用できているなら、無理にモノレポへ移行する必要はないでしょう。
モノレポ運用で失敗しやすいポイントは以下の通りです。
これらの失敗を回避するためには、導入目的や運用ルールを明確にする、適切なCI/CD設計を行うなどの対策が必要です。
ソフトウェア開発の領域において単一のリポジトリで複数プロジェクトを管理できるモノレポは、コード共有や複数チームによる並行開発のニーズが高まる中で今後も多くの企業で導入が進むと考えられます。
今回解説したモノレポのメリットや課題、マルチレポとの違いなどを参考に、正確な導入判断を行って下さい。なお、モノレポ導入後にCI/CDを効率よく回すためには、別途ツール活用による工夫が必要になります。
GitLabは単一のプラットフォームでソフトウェア開発を効率化できる豊富な機能を提供しており、モノレポツールと組み合わせることでモノレポにおけるCI/CDの課題を解決できる機能もご用意しています。モノレポを導入する際には、ぜひGitLabの活用もご検討下さい。
監修:小松原 つかさ @tkomatsubara
(GitLab合同会社 ソリューションアーキテクト本部 シニアソリューションアーキテクト)
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